税務会計顧問業務は主として、企業の日々の取引を記録し、 最終的に決算書、 税務申告書を作成する業務をサポートするものです。

税務会計顧問業務フロー

月次業務

お客様のご要望に応じて各種サービスを提供

  • 証票類のチェック・整理
  • 会計データ入力
  • 入力データチェック
  • 月次決算レビュー

6~10ヶ月目
決算対策検討

決算の着地見込みをシミュレーションし、節税対策・銀行対策・資金繰り対策等を行います。

決算2ヶ月以内
決算申告

会社の経営成績をまとめます。
一年間の会社の利益や財務状態を総括した決算書を作成します。

決算分析・決算報告

決算書をもとに経営状態の分析を行い、情報を提供します。

MAS業務

税務申告は法令に定められているもので、「企業の意思とは関係なく、しなければならない業務」になります。そのため当事務所では、お客様にはできるだけお手間をかけていただかず、効率を重視して業務を進めてまいります。
一方、決算対策の検討は、納税額の予想や銀行借入のタイミングなど、「企業の資金繰りを見通すうえで必要な業務」であり、当事務所としては最も重要な業務であると考えています。この検討においてポイントとなるのは、お客様の現状と決算の見込み、それに対するお客様のご意向です。当事務所は、それらを把握したうえで適切な情報提供とご提案をさせていただきます。

当事務所では、税務会計顧問業務とコンサルティング業務を明確に分けています。なぜなら、中途半端なコンサルティングはお客様にとってメリットが少なく、むしろデメリットになりがちだからです。

節税対策

節税の手法は様々ですが、決算対策における節税は、そのほとんどが税金を翌期以降に繰り延べるという性質のものになります。
たとえば、節税対策としてよくあるのが生命保険の活用で、保険料を支払うことで利益を圧縮するというものです。この対策を採ろうと思うのは利益が出ている時なので、その瞬間は確かに効果があります。
しかしながら、節税対策に使われる生命保険契約は、保険料を1回だけ支払うというものではなく、短くとも数年は継続して保険料を支払っていかなければなりません。2年目以降、業績がどうなっていくのか分からなければ、軽々に取り組めるものではないと言えます。
さらには、この生命保険契約はいつかは保険金や解約返戻金が会社に入ってきて、大きな利益となるわけなので、その時どうするかということも事前に検討しておく必要があります。
そのため節税対策は、お客様の現状把握と将来予測を前提として検討しなければなりません。
それらを飛ばして節税のテクニックの話だけをしても、ネタとしては面白いかもしれませんが、お客様にとって真に価値のあるサービスとは言えません。
当事務所では、お客様の現状と今後にフィットしたものをご案内できるよう心がけています。

銀行対策

中小企業の資金繰りは、銀行からの資金調達、借入を抜きにしては語れません。運転資金、設備資金などの事業資金をスムーズに借り入れるためには、いかに銀行と上手に付き合うかということに尽きます。
では、どうしたら銀行と上手に付き合うことができ、思うように融資を受けられるようになるか?
それは、「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」ということです。銀行は敵ではありませんが、まずは相手をよく知ることです。銀行の組織、融資の意思決定のプロセス、融資商品などを詳しく知ることが重要でしょう。そして最も重要なこととして、自社の格付けを良くすること!です。

銀行は通常、融資の可否の判断や、利率の決定を信用格付に基づいて行います。そしてその信用格付は、過去3期分の決算書の内容によっておおよそ決まるため、銀行に受けのよい決算書を、「継続的に」作ることでよくなります。銀行に受けのよい決算書とは、もちろん実態として業績の良さが反映されているものであることが重要ですが、形式を整えることもそれ以上に重要といえるかもしれません。同じ実態でも、形式が違うだけで不利になっていることはよくあります(拙著を参照してください)。
そのため決算前には、実態としてどこまでよくできるのか?形式としてどこをよくできるのか?といったことを検討することが重要です。
それにより、借り手と貸し手が互いに理解を深め、良好な関係を構築していただくことが、当事務所の使命だと考えています。

信用格付とは

銀行が企業を格付しているという事実は、いまではご存じの方のほうが多いでしょう。銀行は、貸出債権が不良化していないかどうかを、金融検査マニュアルを参考にした銀行独自のマニュアルに従って査定します。これがいわゆる「自己査定」です。そして、これとリンクするかたちで、信用リスク(銀行が貸倒などにより損失を被るリスク)の管理を行うために「信用格付」を行い、それに基づいて企業への取り組み方針などが決定されます。この自己査定と信用格付は、決算書による定量分析と、業歴、技術力などの定性分析によって決定されますが、圧倒的に定量分析のウェイトが高いです。事実上、決算書で決まるといっても過言ではありません。

この信用格付をベースに、金利、期間、担保などの条件を検討し、最終的に融資の可否を決定します。そしてその信用格付は、原則として次の決算が来るまで変更されません(下方修正はあり得ます)。つまり、通常であれば1年間は条件が変わらないということです。ですから、そんな大事な融資条件を左右する信用格付は、良いに越したことはなく、その信用格付を決定する決算書は、決しておろそかにできるものではないということです。
そんなに大事な決算書なのですが、多くの中小企業では、信用格付を意識した決算書が作成されていません。節税対策ということであれば、利益を減らせば税金も減ることになるので、その対策が適正であるということが前提になりますが、マイナスを作ることだけを考えれば事足ります。しかし、銀行対策は、ただ利益を多くすればよいということだけでは不十分です。利益の出し方、資産の状況など、決算書の内容を全体的、総合的に良くしなければならないのです。

さらに、もう一つ重要なこととして、信用格付の決定は、単年度の決算書だけで評価されるのではなく、2~3期分といった複数期の決算書で評価されるということです。ですから、継続的に決算対策をしなければならないのです。

こういったことが分かって決算書を作成するのと、分からずに作成するのでは、企業の実態が同じでも、その評価において差が出るのは明らかです。実態が同じでも評価が低いというのは、非常にもったいないことです。しっかり対策をし、少しでも格付を上げる意識を持つことが大切です。

ただし、決算書作成において格付対策をしっかりやればそれで大丈夫かと言われると、それだけでは不十分です。この格付対策はいわば対症療法です。対症療法をするのと同時に、根本治癒、体質改善をすること、すなわち黒字体質の会社になり、それを維持することが大切です。

資金調達、格付アップに特効薬はありません。月次決算という会社の定期検診を通じ、体調管理、体質改善を継続的に行うことがなにより重要です。

自己査定と信用格付の関係

金融機関により相違がありますが、 一般的にはこんな感じです。

債務者区分 格付 取り組み方針
正常先 1 積極方針
2
3 準積極方針
4
5 現状維持
6
要注意先 7-1
要管理先 7-2 回収方針
破綻懸念先 8
実質破綻先 9
破綻先 10

銀行によっては取引先に格付を知らせることとしているところもあるようですが、一般的には自社の格付がどうなっているかは分からないことの方が多いです。ただ取引先に教えてはいけないというしばりはないと思いますので、担当者に聞いたら案外教えてもらえるかもしれません。
債務者区分が同じ正常先でも、格付が「1」と「6」では、融資条件にかなりの差がでます。正常先で格付が上位であると、融資を受けるにあたって、ほとんどストレスを感じることはないでしょう。ですから、自社が格付上位であれば、これを維持することで資金繰りに頭を悩ますということから解放されるでしょう。
また、要注意先であったり、正常先でも格付が下位であると、二つ返事でOKということはなかなか難しく、融資の可否の決定に時間がかかったり、相対的に金利が高いといった不利な条件になったりするので、要注意先であれば正常先に、正常先であれば少しでも上の格付になるように対策しなければなりません。
私どもでは、正常先上位の格付維持と、要注意先、正常先下位の格付アップについて、様々な対策を行います。

通常、破綻懸念先以下の債務者区分に分類されると、新規融資の取り組みはほぼ絶望的です。破綻懸念先となる要件はいくつかありますが、端的にいいますと「業況が著しく低調で、貸出金が延滞状態にある」ということになります。
大変申し訳ありませんが、ここまでいってしまっているお客様は、私どもでは資金調達の協力はすることができません。このような方々は、残念ながら、もはや対症療法では手遅れで、外科手術をしなければならないでしょう。ですから、必要なのは「資金調達」ではなく、「事業再生」です。ご用命があれば、事業再生のご相談をさせていただきます。